「とまあ、そういうワケでして……」
僕とミミさんの過去の話を話し終えると、パソコンの画面の向こうにいる僕のパートナーは、どこから持って来たのか分からないハンカチを出して、目に溜まった涙を拭いていた。
「光子郎はんに、そんなつらい過去があったやなんて……」
「最初の頃の話は、前にも話したことあったけどね」
おいおいと泣いているテントモンを見て、僕は苦笑いをこぼした。
「あ、そういえば。くれぐれも僕が過去に思っていたこと……消失願望とか、機械のようになりたいとか。それは、お父さんとお母さんに会っても、絶対に話さないでもらえませんか? 僕、このことを話したのは、ミミさんと君だけなんだ。お願いしますよ」
そう。自分にとって一番の暗い時期……そんな部分を、他の人には知られたくなかったから、念を押した。
「分かってます。ワテと光子郎はんの、かたーい秘密や」
「ありがとう、テントモン」
約束をした僕たちは、お互いに、にこにこと微笑みあっていた。すると、遠くから「おーい」という声がした。
「あ、大輔はんたちや!」
その声に、僕は時計を見る。間もなく夕方の5時になるところだった。
「光子郎さーん。お待たせしましたー」
向こうのテレビから、大輔くんが顔をのぞかせた。
「大輔くん。それにみんなも。お疲れ様です」
さっきの話とは打って変わって、僕は笑顔でみんなに労いの言葉をかけた。
「泉先輩! 約束通り、パルモン、連れてきましたよ~」
「あ、ありがとう、京くん」
テントモンに言われてから、僕はみんなに連絡を取り、帰りにテントモンとパルモンを連れて帰ってきてほしいと頼んだのだ。
すると、パルモンがテレビ画面にずいっと顔を近づけた。
「ねえ、光子郎。アタシに用事って、一体なに?」
聞かれるだろうな、とは予想していたけれど。
「パルモンに、いろいろと手伝ってほしいことがあって。でも詳しいことは、君がこちらに来てから話しますから……」
(ここでネタバレしても、みんなに質問責めにされるだけですからね……)
僕はみんなに気付かれないよう、笑顔を作ったまま、小さなため息をついた。
*
学校からの帰り道。
テントモンとパルモンに変装をさせ、僕は頼りになる後輩たちとともに、通学路を歩いていた。
「泉先輩~。もしかして……ミミお姉さま、来てるんですか?」
勘の鋭い後輩の一言に、僕は思わずぎくっとする。
「ち、違いますよ、京くん」
「本当に~?」
怪しむ京くんに、僕は違います、と言い張る。
そうして、なんとか誤魔化して歩いているうちに、僕の家があるODAIBA MANSIONの前に着いた。
「それじゃあ、また」
「さよなら~!」
自分の家のマンションの前で、僕はみんなが帰るのを見送った。
「さてと。じゃ、ふたりとも。僕の家に行きましょう」
「はーい」
こうして僕たちは、マンションの中へ入っていった。